2014年1月28日、覚えている方も多いだろう。
世間向けに「STAP細胞」が発表された日であり、大規模な記者会見が開かれた日である。理化学研究所研究員の小保方晴子氏。割烹着姿の実験風景、ハーバード帰りの若き才女による歴史的な発見ということでおおいに注目を集めた。
しかしその注目も束の間、しばらくしてすぐに不正研究が疑われた。小保方氏はマスコミから大バッシングを受けた。数々の検証実験も虚しくその論文は否定されることとなった。
「STAP細胞はありまぁす」
2014年4月に再び、彼女及び理化学研究所は釈明会見を行うことになった。
渦中に小保方氏の上司のような存在、責任者である笹井芳樹氏も自殺を図るという最悪の事態となった。
STAP細胞はなかった―――
小保方氏の研究室に残るSTAP細胞の痕跡はES細胞由来であると結論づけられた
はや2年、これまで沈黙を貫いてきた小保方氏による手記が出版されることとなった。
手記のタイトルは「あの日」である。
本問題に関して
マスコミの情報で伺い知れることの概要は上記の通りである。
本件は様々な問題を提起してくれた。
- 小保方さん個人の問題
- 理化学研究所の組織としての問題
- メディア・スクラムの問題
「レイヤーを分けて語るべき」問題が沢山提示された。
本手記を読む前の個人的な態度としては「叩かれすぎ」という印象が大きい。たとえ小保方さんがどのような人物であろうと、あそこまで叩かれる必要はないのではないか?とも思う。ただそれは彼女が意図してか意図せずか注目を集めてのし上がった(割烹着とか見てるとね・・・)手法の裏返しとも言えるが・・・
粛々と処分すれば良いだけ。それを許さない一般企業と異なる科学者・研究者故の責任があるのだろう。
理研の発表通りならば、そんなやり方がまかり通ってしまう組織構造と風土は改めて欲しいとしか言いようがない。
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今回の手記で知りたいのは「小保方さんの故意」が一つ。
もう一つは世間を騒がせたとかはどうでも良くて「人が亡くなっていることへの呵責」と人間としての再生である。これは私のゲスい勝手な期待だ。これもメディア・スクラムの一端とは分かっているので申し訳ないが・・・
- 研究者として稚拙だったで済ますのか?
- 悪意(故意)があったのか?
- 今更STAP細胞の存在を肯定するのか?
- 自分は陥れられたと釈明を続けるのか?
また重度の虚言癖なのか? だとしたらそれを抜ける術はあるのか? 興味は付きない。
あの日 小保方晴子
1月28日に発売。出版社は大手の講談社だ。
STAP騒動の真相、生命科学界の内幕、業火に焼かれる人間の内面を綴った衝撃の手記。1研究者への夢 2ボストンのポプラ並木 3スフェア細胞 4アニマル カルス 5思いとかけ離れていく研究 6論文著者間の衝突 7想像をはるかに超える反響 8ハシゴは外された 9私の心は正しくなかったのか 10メディアスクラム 11論文撤回 12仕組まれたES細胞混入ストーリー 13業火etc.
上記の目次に従って書かれている。「業火」という強いワードが目を引く。
感想 レビュー
彼女の主張がいくつかある。
一つ、ES細胞は彼女の意志になく混入。
それは「論文共著者の若山照彦・山梨大学教授によるもの」とのこと。
罠にはめられたという主張だ。
二つ、STAP細胞はあるのではないか?と見ている。
実験で否定はされたが、まだ存在については可能性はあるとしている。
三つ目、メディアバッシング
メディアの報道被害者としての視点。
さらにもう一度人生をやり直すとしたら「研究者」の道を選ぶ、ということが述べられていた。
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新しいことは分からない、彼女が虚言癖のように見える印象も覆すことは出来なかった。もっともそれはこれまでの報道があるからで真実は分からない。情報がまったくのゼロの状態から本書を見れば彼女に理があるようにも読めてしまう。(ゲス読みすれば「こう上手く主張されては騙される人出てくるよな、この能力高すぎ!」という驚き・・・)
時々彼女のポエミーな文学的表現が過剰すぎるきらいがある。そこが「見どころ」と言えなくもない。
本書の内容を見ると理研との対決姿勢をより明確にした形である。
不正が彼女個人の問題ではなく理研という組織の問題であると考えた時に、彼女は理研という組織の中でトカゲの尻尾切りにされた。若いゆえに権力の闘争に敗れたというのは事実だろう。
STAP 細胞・小保方さん関連本
あの日から2年、各専門家が小保方氏擁護と否定の立場で検証本を出版している。いずれも賛否渦巻く内容で様々な示唆を与えてくれる。なお「捏造の科学者」を書いた須田桃子さんは手記「あの日」の中で痛烈に批判されていたのも面白いところ。
STAP細胞の真実_日本中が驚いた小保方晴子氏を巡る騒動劇の全貌解明!
- 作者: 岡田愛史
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こちらは林先生。痛快に切っている。小保方氏と共に2014年に注目された野々村県議や佐村河内守氏についても触れている。